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脊髄損傷になったら

不慮の事故やけがで脊髄損傷になった場合、ご家族の方々はパニックになってしまいがちです(というよりなります)。脊髄損傷に対する知識もないまま医師から説明を受けてもよくわからず、その状態でいくつもの重大な決断を迫られます。また、事故の場合などは警察や相手方、保険屋等々への対応もしなければなりません。そこでもし家族の誰かが脊髄損傷になってしまっても安心して介護・付き添いが出来るように様々な情報を提供してまいります

1.受傷直後
2.最初の病院
3.転院先
4.在宅へ
5.本人・家族のケア
6.行政・福祉

  
 


1.受傷直後

まずこの段階では病院について選ぶことは出来ないと思います。特に受傷直後は11秒を争うのでそれどころではありません。ここではまずしておかなくてはならないことを書きます。ただしすべての方に当てはまるものではないという事をご理解ください。

※以下の内容についてはあくまで希望の椅子の会員が直面した内容をまとめております

【手続きについて】

1)会社や学校・・・受傷者本人の休職や休学の手続き。介護者の介護休暇や休職の確認と手続き(入院付き添いのため)
保険の確認と請求・・・現在入っておられる保険契約をすべて見直してください(自動車保険・生命保険・団体信用生命保険・その他の損害保険等々)
2)
裁判が必要となる場合・・・本人の怪我の状況を毎日記録すること(訴訟を起こすときに必要になります)利用したものの領収証はすべて残しておいてください(請求の根拠になります)頼りになる弁護士を探す(弁護士にも得手不得手がありますし、知り合いの弁護士を頼むと不満等を言いにくくなります)

【家族の体調と精神状態】
ご家族の誰かが脊髄損傷になったことで、精神不調やPTSDを発症される方は少なくありません。詳しことは「本人・家族のケア」でお話しします。
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2.最初の病院(急性期病院)

先に書きましたが救急車で担ぎ込まれる場合病院を選ぶことは難しいです。脊髄損傷の知識のある医師や病院関係者が知り合いにおられるなら別ですが、ほとんどは救急隊員の判断により搬送先は限られてきます。家族としてはパニックになり頭で理解できないまま時間が過ぎていきますし、まして医師から告知を受けるとショックでわけが分からなくなります。ここでは脊髄損傷について最低限知っておくと良い内容を書きます。

【知っておくべきこと】
1)
褥瘡(床ずれ)・・・ほとんどの脊髄損傷者は病院で褥瘡を経験します。医療関係者からは「脊損に褥瘡はつきもの」と言われますがこれはある意味正解である意味嘘です。なぜならきちっとした看護体制で体位交換等したり、的確なギャッジアップをしておれば褥瘡は出来ません。褥瘡予防の方法については別のところで説明します。
2)
拘縮・・・関節が固まってしまい動かなくなることです。健常者でも同じですが同じ体勢で全く動かさずにいるとその状態で固まってしまいます。ギブスをはめてた方が取った時に動かないのと同じです。まして四肢麻痺になると指先まで動きませんから、何もしないでいるとあっという間に固まってしまいます
3)尖足・・・ベッドに寝かせていると足の甲が水平になって真っすぐになってしまいます。これが尖足です。尖足がひどくなると靴も履けなくなります。拘縮も同じですがすべての関節が90度以上曲がるように毎日マッサージしてあげてください。
4)処方箋
・・・脊髄損傷になると様々な病気(?)を併発することが多くなります。多くは排泄障害から来る感染症であったり、呼吸器障害からくる肺炎であったり様々ですが、ほとんどは抗生物質等です。しかしなかには抗うつ剤や筋弛緩剤を知らない間に処方されている場合があります。ひどいケースでは肘の関節痛がひどいので相談すると「痛み止め」と称して筋弛緩剤を飲まされていました。本人は痛み止めと信じ切っていましたが、あまりにも目に力が無いため薬の名を聞くと強力な筋弛緩剤であったということがありました。出される薬は出来る限り内容を聞くか調べてください。

【やるべきではないこと】
これはあくまでも希望の椅子として立ち歩くためのリハビリをする上でしないほうが良いという内容ですので、すべての方に当てはまるわけではありません。
1)膀胱ろう
・・・基本的にトレーニングをするためには身体に入っている管を抜く必要があります。逆に言うと膀胱ろうや人工肛門などのオストメイトの方のトレーニングはお勧めいたしません。
2)腱の切断
・・・痙性のきつい方に対して楽になるという事で腱の開放や神経・筋肉間の経路の切断を行なう場合がありますが、そういう方は立たせること(複数人で)は出来てもそれ以上のトレーニングはできません。
3)言いなり
・・・すべて医師の言われるがままに入院生活を送り、医師やPTの言うがままのリハビリ(と称するもの)をし、ADLを上げQOLを高めるということだけをしていませんか。可能性を排除する(諦める)必要などまったくありません。

【身体を良い状態で保つ】

知っておくべきことの中で出てきた褥瘡、拘縮、尖足の予防法です。これはあくまで希望の椅子の会員たちが実際に行ってきたことであり、必ずしも医療関係者から見て妥当かどうかはわかりませんのであらかじめご了解願います

1)褥瘡予防
・・・病院で出来る褥瘡の大部分は仙骨部です。この原因はほとんどがギャッジアップの時にシーツやパジャマが皮膚と擦れたり内部で捩じれたりするために起こります。ギャッジアップの基本はまず膝の部分(3モーターのベッドの場合は『足』)を持ち上げお尻の部分を固定します。その次に背を上げるわけですが、この時も背中の皮膚はシーツやパジャマと擦れたり捩じれたまま持ち上がってきますので、上がった時に一度背抜きをします。その時に仙骨部も除圧できれば大丈夫です。要は擦れたりして皮膚が捩じれたり突っ張ったりしてる部分を元に戻してあげることが大事なのです。その次に多いのが同じ部位にずっと圧がかかって、皮膚よりも内部組織が壊死していく褥瘡です。これは車椅子に同じ姿勢でずっと座っていると坐骨と皮膚に挟まれた部分に起こります。少なくとも20分に1回はお尻を持ち上げて除圧しておけば予防になります。C損でプッシュアップが出来ない方は誰かに持ち上げてもらいましょう。さて、心配な褥瘡ですが、なりそうなのかどうかを簡単に判断する方法があります。まず皮膚が赤くなってる部分を見つけたら人差し指で押してみてください。押したところが白くなりますが指を離せば元の色に戻ります。これがなかなか戻らない場合褥瘡になる危険性は高いです。そういう場合は周囲をタッピングしてください。叩くことによって皮膚の新陳代謝が上がり、元に戻る場合もありますし、それ以上悪くならない場合もあります。 また、車椅子に敷くクッション選びも重要になります。様々な商品が出てますので出来る限りサンプルを取り寄せていろいろ試してみてください。

2)拘縮予防
・・・これはベッド上でのマッサージ以外に予防法はありません。ただし気を付けていただきたいのは医師や看護師から「勝手なことをしないでください」と注意を受ける場合があることです。当然ですが手術を受けた直後に膝を持ち上げたり身体を横向けたり、身体を動かすと危険な時がありますのでそこはご判断ください。少なくとも手足の指や手首足首を柔らかくするくらいは問題ないと思われます。その場合のポイントとして指を伸ばす場合は必ず手の甲を上に向けて伸ばしてあげてください。間違っても手のひらを上に向けて伸ばそうとしないでください。無理にやると腱が伸びる危険性があります。

3)尖足予防
・・・一番良いのは足の裏が垂直になるようなものを当て、足先が垂れないようにすることです。ただし踵へ負担となるようなものをあてがうと踵に褥瘡が出来ますので気をつけてください。毎日出来るだけ90度以上に曲がるようにストレッチしてあげてください。この場合無理やりやりすぎるとアキレス腱が傷つきますのでご注意ください。もちろん足の指もゆっくりと上下に曲げてあげてください。

【残しておくもの】
病院では様々な書類が出ますので出来る限り保存しておきましょう。思いついたものを書きだします。また裁判がある場合は各レシート等も残しておきましょう。
1)
レントゲン写真など検査記録
2)
雑費等のレシート・・・保険会社との交渉や裁判がある場合には必要となります
3)交通費等の記録・・・タクシーの場合は領収証、自家用車の場合はガソリン代等のレシート、電車バス等は日付と移動区間・金額をメモしておくこと。保険会社との交渉や裁判等の場合には必要になります
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脊髄損傷の場合ほとんどの方達が急性期の病院に2〜3か月居て、続いてリハビリ病院に行かれます。希望の椅子の現在のスタンスとしては急性期病院の退院後は在宅でのリハビリを勧めていますが、それぞれ様々な事情がありすぐには在宅へ移行できる人はなかなかいません。さて多くの脊損者の場合急性期病院では整形外科に運び込まれます。そうではない場合脳神経外科になります。整形外科の場合はその病院として提携(?)しているリハビリ病院に転院となりますが、だいたい2つくらいの病院と提携しているところが多いです。とはいえ自宅から近ければ良いのですが、そうでない場合家族としても通うのが大変です。とりあえずご自身でいくつかのリハビリ病院を調べて、そこに行けるかどうか急性期の担当医と相談してみてください。ただしその場合は慎重に話をしてください。提携先というのは単に提携してるわけではなくいろんな事情があって提携しているわけなので、担当医の勧める病院を断るのも一苦労です。現実に中国地方にある大きな病院に入院してた方が転院先にかなり遠方の病院を紹介され、そこを断りご自身で地元か近隣の病院を探すという話をしたら「では2週間以内に出て行ってください」と褥瘡の治療中にも関わらず主治医から追い出されたケースもあります。

【退院時期の決定】

さて、ここではリハビリ病院の内容については書かずに、退院時期の決定について考えてみます。基本的にリハビリ病院に居る期間は最長で約6ヶ月ですが3か月が平均です。これは点数に関わる問題なのでこうなるんですね。さてその3か月の間に様々なことを決めなければいけません。一番は「車椅子の購入」でしょうか。あと羅列しますと「障害者手帳の申請」「福祉車両の購入または車両の改造」「住宅改修」「福祉課でのサービス確認」「各種福祉用具の購入またはレンタル」「補助金等の申請」等々あります。そして障害者手帳の発行後は「ヘルパーとの契約が可能」「訪問リハ訪問看護の利用が出来る」「障害年金の申請」が出来るようになります。
【退院準備】

1)
復学・復職の手続き

2)
家の環境整備・・・福祉用具の購入、レンタル、簡単なリフォーム

3)
通院先の決定・・・診断書やカテーテルをもらえる病院

4)
その他・・・行政との手続き等。裁判の開始
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いよいよ退院し在宅へ移行します。ご家族の方々にとっては介護・介助の始まりです。本人はもとよりご家族も大変不安が大きいと思いますが、「習うより慣れろ」という言葉しかありません。慣れるといかに自宅が快適なのかがよくわかります。ここではリハビリについてではなく介護・介助の話をしてまいります

1)
介護環境の見直し・・・実際在宅生活が始まると「あれは要らない、これも要らない」または「あれが要る、これも要る」ということが多くなります。リハビリ病院で使ってたものが自宅では使えなかったり、代用品がいろいろあったりします。基本的には創意工夫が大事になります。

2)
介護者の介護力の向上・・・例えば脊髄損傷者に対する介護はこのようなものがあります(・おむつ交換・着替え・食事介助・排泄介助・入浴介助・移乗・体位交換

もちろん受傷程度により違いはあります。また、ヘルパーとの役割分担も可能です。細かい内容については「在宅生活」にて書きたいと思います。
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. 本人・家族のケア

希望の椅子が重視しているのはリハビリですが、実はそれと同じくらい大切にしているのが本人はもとより家族のケアです。それも受傷直後のケアです。ほとんどの家族の方々はパニックになり毎日がジェットコースターに揺られてる気分になります。そういう中で精神に不調をきたしたり、PTSDを発症されたりする方も少なくありません。しかし不思議なことに本人がそうなるというのはほとんどありません。これまで多くの脊損本人たちと会ってきましたが、案外皆さん受傷直後はケロッとされていました。もちろんその後紆余曲折を経ていわゆる「受容」という状態になられるわけですが、最初は家族の方がおかしくなる確率が高いのです。その理由は皆さんほぼ同じです。そうなる確率が高い人たちは、自分の子供が脊髄損傷になってしまったお母さん、もしくはお父さんです。お母さんは最初は自分の子供が可哀想だと思い泣き崩れますが、いつの間にか「自分の子供が脊髄損傷になってしまった私が可哀想だ」という精神状態に陥ってしまうのです。そういう中で夫婦間に溝が出来たりします。その原因も簡単な話で、お母さんは概ね目の前のことが全てなので、「子供が可哀想だ」「出来ることなら私が代わってあげたい」「お金は要らないから元に戻して」という感情になります。しかしお父さんは今この場のことを解決しようとします。なので目の前のことより先のことばかりに考えが行ってしまいます。それがお母さんにとっては腹立たしいわけです。いつの間にか「悲劇のヒロイン」になってしまったお母さんと「この苦境を解決することが全て」のお父さんが仲良くやれるはずがありません。こういう中でお母さんに責められてうつ病になってしまうお父さんは何人もおられます。 そこまで行くまでにお会いできたご夫婦には以下のような話をします。「お父さんお母さんがどれだけ悲しくて辛いと思っても、本人の辛い気持ちには勝てないんですよ」「お父さんお母さんが辛く悲し気持ちでいると、本人にはすぐに伝わります」「それで本人が余計に辛く悲しい気持ちになるんですよ」ほとんどのご夫婦はこれで目が覚めます。

希望の椅子では脊髄損傷者による脊髄損傷者へのピアカウンセリング。また、家族による家族へのピアカウンセリングを行っております。各地で開催される勉強会、年に一度の合同リハにご参加いただいたり、訪問型ピアカウンセリング及び面談も行っておりますので是非ご相談ください。また介護鬱にならないための支援等も計画しております。

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. 行政・福祉

今後随時更新してまいります。

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